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コラム「心に栄養」  2011年10月1日


「ストローク」という心理学用語があります。
「ストローク」とは、存在や行動すべてにおいて、良くも悪くも認知・承認しているということを
相手に伝えることすべてを指しています。

何だか、難しい…と思われるかもしれませんね。
要は、会話やコミュニケーション、触れ合いなど人と人との間に発生するものは
ほとんどがストロークで、内容によって
・ネガティブなものポジティブなもの、
・行動に対してのもの、
・存在そのものに対してのものといったものに分けられます。

私たちの体が食べ物や飲み物を必要とするのと同じように、心は「ストローク」を欲します。
認められ、また相手を認めることで私たちは人とのつながりを感じ、
精神的に満たされて生きていくことができるからです。

全くストロークがない状態におかれるより、ネガティブなものでもストロークを求めるとさえ言われるのです。
無視されるよりも、ケンカしてでも人とのかかわりがある方を私たちの脳(心)は求めるのです。

普段の生活の中でも生きていくためにストロークは必要不可欠です。
ましてや、今回の震災のように心に大きな負担・ストレスがかかる状況におかれた時には
心を安定させるために、いつも以上のストロークが必要になってきます。

特に脳が発達段階の子どもたちには、安心と安全を感じることができるような関わりが大切です。
でも、安心と安全を与えるストロークってどうやってあげればいいのか分からない…
という方も多いかもしれません。

でも、何も難しく考えることはないのです。
とにかくたくさん触れてあげてください。
頭をなで、手をつなぎ、ほほをなで、背中をさすり、ハグをして…
たくさんたくさん触れあってあげて下さい。

そして笑顔を向けてあげること、同じ目線で話すこと、
持っている感情・今感じている感情を受け止めてあげること…
そういうことが子どもたちの脳に安心をもたらします。

「○○ができてすごいね。」
「○○をしてくれてありがとう。」
こんな条件付きのほめ言葉ももちろんうれしいのですが、

何より一番のストロークは
「あなたがいるだけで、ほっとするよ。」
「大好きだよ。」
といった、存在そのものに対するストロークです。

何もしなくても、何かができなくても、生きているだけでかけがえのない存在と言われる
安心感とその時感じる安全。
この存在そのものへのストロークをもらう機会が少なくなってしまったように感じるのは
私だけでしょうか?

家族だけでなく、地域社会の中で周囲の大人たちから絶えず声をかけてもらい、
見守る目があった時代から、社会とのつながりが薄れ、家族からさえ「○○ができた」
「テストの点が良かった」といった何かができた時にしかストロークがもらえなくなってしまった時代。

大人たちやお年寄りが子どもたちにたくさんのストロークをあげることができたのは、
大人たちもコミュニティーの中でストロークをやり取りできていたからこそです。
そういう意味では、現代はみんながストローク不足なのかもしれません。

今回の大震災で親しい人を亡くした上に、環境の変化などで人との交流が少なくなって
孤独になってしまいがちなお年寄りも、子どもたちと同様にたくさん触れてあげて交流し、
ストローク不足から精神的にまいってしまわないように気をつけてあげなくてはと思います。

阪神淡路大震災後、改めて地域社会・コミュニティーの価値が再認識され、
隣近所の方が一緒に仮設住宅へ移るように取り組まれていることがニュースで取り沙汰されるのを見ると、
ちょっとほっとするような、胸が暖かくなるような、そんな気持ちがしました。

人は人の中でないと生きていくことはできません。
触れ合いと温かい言葉、そして笑顔で、たくさんの方が救われることでしょう。


本日のコラムニスト

日本Share&Care協会 代表 池田登先生
http://www.sharecare.jp/

コラム池田登











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